敗北宣言
われわれは、今夏は扇風機だけで乗り切ると決意し、またその決意に忠実に従い、一切エアコンを使用しないで日々を過ごしてきた。
しかし今夏の暑さは、われわれの決意と正義の声と訴えに耳を貸そうとせず、ひたすら温度を上昇させ、熱中症へのカウントダウンを数え始めていた。
従ってわれわれは、エアコンを使用する必要性を認めざるを得ず、彼らに対して、夏の時期においては敵、それ以外の時期においてはわれわれ人間に恩恵をもたらしてくれる良き友とみなさざるを得ない。
従ってわれわれ人間は、大陸会議に参集し、われわれの意図が公正であることを、世界の最高の審判者に対して訴え、これらの植民地の善良な人民の名において、そしてその権威において、以下のことを厳粛に公表し、宣言する。
扇風機だけで今夏の暑さを乗りきろうとしていたが、遂にエアコンを使用してしまった。
あろうことか、エアコンと扇風機を併用するという暴挙を働いてしまった。
ここに、今夏の暑さに敗北を喫したことを宣言する。
2018年7月12日(木)
連合会議議長 井口佑斗
遂に負けた。
エアコンを使ったのである。
終わりだ。
きっとこの世の終わりが来るに違いない。
誠に残念ではあるが、この世は終わってしまうことになるだろう。
エアコンをつけてから扇風機を回すと、ひんやりとした冷気が部屋中にすぐに充満し、とても心地良い。
この心地良さを知ってしまったが最後、本当に終わりの始まりである。
例えるなら、
今まで10円のうまい棒しか食べていなかった子どもが、突然何かの拍子で、ルワンジュ東京のフルーツタルト「GARDEN」を食べてしまったぐらいの暴挙さである。
10円で満足していた頃が人生の華だった。
きっとそう嘆くことが訪れるであろう。
(例えになっていないし分かりづらい)
1度贅沢を味わってしまった者は、後に引き返しにくくなり、支出は膨らむばかりである。
今夏の暑さに敗北を喫したわけだが、
皆さんには、無理は禁物であると警告しておきたい。
おしまい。