どうも。
渡る道路は糞だらけだ。
ひと度外を歩きだせば、あっちにも糞、こっちにも糞である。
たとえ同じ道を毎日辿っていたとしても、そこには地味な変化がある。
昨日には存在していなかったのに、今日になると新たな糞が、道端に落ちている時があるのだ。
節操がないし、はしたないし、本当に油断ならない。
犬猫の糞、鳥の糞、そして人間の糞。
車椅子ユーザーの俺にとって、外出して道路を進むことは、もはや修行であり、鬼の所業である。
神経を尖らせながら、血眼になって進まなければ、いとも簡単にあっさり踏んでしまう。
細心の注意を払ってはいるが、それでも踏んでしまう時だってある。
そんな時はもちろん、空を仰ぎ見ながら、
「アーメン」と呟き、目を閉じる。
これが恒例の行いであり、タイヤの供養だ。
糞だけでなく、車椅子ユーザーの敵は多い。
画鋲、階段、段差、ガム、カエル、水たまり。
挙げたらキリがなくなるが、外出する時は、決して油断してはならない。
その油断こそが、己のタイヤを殺すことになるのだから。
おしまい。